ウヨクって何?

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 ウヨクはもちろん右翼のことだ。右翼のイメージをなんとなく持っている人は多いだろうが、その定義を突っ込んで考えてみるとよくわからなくなってくる。

 右翼は、たとえばナショナリズムだとか復古主義だとか言われる。しかしナショナリズムは「ネイション」が成立して初めて生まれたはずである。ネイションとは一般的には近代の「国民国家」を意味する。ところが日本の多くの右翼は大和政権の古代国家、もしくは神話上の「神武天皇以来」の「神国日本」を日本の正当な原点と考える復古主義(=皇国史観)を主張している。近代思想であるナショナリズムと前近代=封建主義的思想の皇国史観とは、本質的には相容れないはずである。しかし、それが右翼側からは何の矛盾もなく併存しているのだ。
 もうひとつ例をあげよう。日本の右翼は改憲派であり、かつ日米安保推進派である。改憲の根拠にされるのが「アメリカからの押しつけ」という「押しつけ論」である。ところが一方で現実に日本の領土を治外法権として米軍が一方的に支配できる安保は大好きで、もっと強化しようと言う。日本国民の権利よりアメリカの主張を飲むべきだと言う。属国関係でない主権国家同士で、ここまで他国の軍隊を自国内で自由にさせているケースは極めてまれである。民族主義を掲げながら、現実には他国の利益を優先させようとする右翼の立場は完全に混乱している。
 もちろん、このような矛盾を良しとせず、論理的整合性をとろうとする右翼、保守派もいるが、たいていの右翼はこうした矛盾を矛盾と自覚することさえない。ここであえて「ウヨク」と表記するのはそのためだ。
 このことが何を意味するのか。つまりウヨクは実は右翼ではないのである。彼らが(もしかしたら自分自身でさえ気づいていないのかもしれないが)表向き掲げている理念は、ただ自分の言動を正当化、合理化するためだけの飾りでしかない。けっきょく彼らは自分たちにとって都合の良いことを、都合の良い理屈をつけてやろうとしているだけの、ただの自己中なのであろう。
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