サヨクって何?

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 サヨクはもちろん「左翼」だが、それ自体の意味はウィキペディアで調べてもらえばよい。ここでは、現代日本における「サヨク」という言葉の意味を考えたい。

 20世紀後半の日本において「サヨク」はだいたいマルクス主義者のことだった。もちろんこれは時代によって変わる。現在では保守穏健派=いわゆるハト派まで左翼と呼ばれる。保守中庸を貫いてきた朝日新聞が今では左翼の代表のように言われる始末である。本来の左翼は極左を通り越して「カルト」呼ばわりだ。興味深いことに、こうしたカテゴライズは戦前、戦中のものに酷似している。
 つまり現在では「サヨク」という言葉は、極右思想を否定する人々に対する単なる罵倒語、蔑称として使われているだけなのだ(*注)。
 そもそも現代において、左翼、右翼と言ったカテゴライズにどれほどの意味があるのだろうか。おそらくこうした仕分けが意味を持っていたのは冷戦期までのことである。たとえば現代の中国や北朝鮮の支配者たちがいくら共産党や労働党を名乗っていても、現実に行われていることは「共産」の否定であり、「労働者」への抑圧だ。
 左翼、右翼はそれで別によいけれど、いま一番重要なのは「共生・寛容」派か「純化・選別」派かということなのだと思う。
(*注) 実はカール・マルクスも有名な『共産党宣言』の冒頭で同じようなことを書いている。

「対立する政府支配者から共産主義者呼ばわりされなかった反対党がどこにあろう。そして反対党は反対党で、自分より進歩的な反対派も反動的な敵対勢力も糞味噌にして、共産主義というレッテルを張って誹謗しなかったものがどこにあろう。」(『共産主義者宣言』太田出版/金塚貞文・訳)

 ある意味で世の中は変わっていない。

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