Nさんへの手紙(13)~都議選の結果をどう見るか

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Nさん

 今回(2025年6月)の都議選の結果ですか?
 ぼくは都民ではないし、正直ほとんど結果も見ていません。
 なので、ニュースをチラ見しただけの、ただの印象しか申し上げられません。不正確なところがあったらお許し下さい。

 印象と言うことで言えば、あまり明るい結果とは思えませんでしたね。
 自民党が「大敗」したとされていますが、実際には右派が投票先を分散させただけで、別に政治状況が変わったわけではありません。
 その代わりに都民ファが延びただけで、都政に大きな変化は無いでしょう。
 参政党も初当選が3人出たわけですが、これは安倍派の岩盤支持層がそのまま極右政党に入れたと言うことだと思います。

 注目点は、共産が減って、国民民主が大躍進したことです。
 国民民主は基本的に自民党と同じスタンスで、その支持層は安倍自民党を支持していた層と重なっているそうですから、都政においては「野党」になるのかもしれませんが(今後どうなるか分かりませんが)、この結果は事実上、右派勢力が圧勝したものだと言えます。

 石丸新党=再生の道が全員落選したことにずいぶん関心がおありのようですが…
 石丸新党が議席を取れないのは初めから織り込み済みなので、特段言うべき事もありません。
 そもそも石丸伸二氏自身が出馬するわけでもない、政策も出さない、ひとつの選挙区に複数人の候補を出してくる等、初めから勝つつもりは無かったと思います。
 最近の物価高騰と米問題で石丸新党はマスコミから完全に忘れ去られてしまいました。SNSでもN党立花氏や参政党、またいわゆるお騒がせ系が悪目立ちする中で、埋没してしまっています。
 どのみち勝ち目はないと判断していたのでしょう。

 それでも今回候補者を擁立したのは、消えていないぞと言うアピールと、現在の選挙環境の潮目を観測するためだったのではないかと思います。
 波に乗れそうだと見たら、石丸氏は参院選、もしくは幻に終わった衆院選に出るつもりだったのかもしれません。

 石丸氏が昨年の都知事選で第二位となったのは、いわゆるSNS選挙を駆使したからと言われましたが、これはなかなか難しいところのある手法です。
 SNS選挙で勝敗を分けるのは、投稿数・閲覧数の差です。
 支持者が情報をどれほど拡散するのかというある種の物量戦なので、SNSを使う同じような政治勢力が競合すると、最終的には誰かがひとり勝ちすることになるのかもしれません。
 というのはSNSはその特性上、深い話、長い論理は嫌われます。短く簡単で分かりやすい主張が受けるのです。
 なので、似たような政治勢力はその差を示すことが出来ず、結果としてどこかに注目が集中し、突出することになるのかもと思います。
 今回は国民民主と参政党がSNSでは勝ったと言えるのかもしれません。

(まあ、だからSNSでは底の浅いポピュリズム的主張ばかり蔓延し、結局政治が空疎なものになり、それはやがて大きな危機を招く危機をはらんでいます。この辺の空疎さは2025年6月24日に国民民主の玉木代表が、外国特派員協会で「女性には政策を理解するのが難しい」と発言したあたりにもよく見てとれ、政治家自身が自覚的に政策を脊髄反射的にウケるだけの薄っぺらいものにしようとしているのです。簡単に言えば愚民化政策です。)

 問題は参院選ですが、この傾向はそのまま出ると思います。
 「そのまま」というのは、右派=自民、国民民主、参政にプラスして、東京では全く人気が無いが関西では今だに支持者の多い維新が加わって延び、立憲、公明という中道右派が続き、左派は(と言っても事実上共産党しかいませんが)大敗するということになるのではと思います。
 とても困った状況です。

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